【コラム】私たちが「仕事か、治療か」で悩まなくて済む社会へ

2025年12月1日
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KiteRa専門開発室は、10月に不妊治療と仕事の両立支援に関する規程をリリースし、11月に資料集「不妊治療と仕事の両立支援制度-導入ガイド」を公開しました。

『導入ガイド』を読んで気付かされた、制度浸透を後押しする「空気づくり」

「不妊治療」という言葉を聞いたとき、私たちはそれをどこか「遠い誰かの話」や「個人のデリケートな問題」として、他人事として捉えてはいないでしょうか。

先日公開された『不妊治療と仕事の両立支援制度 導入ガイド』を読み、その認識が大きな間違いであることを痛感しました。これは個人の悩みではなく、私たちが働く組織そのものが抱える無視できない課題だったのです。
本コラムでは一従業員としてこの資料を読み、職場における「働きやすさ」の本質について感じたことを綴ります。

意外と身近にある「言えない悩み」

まず驚いたのは「夫婦の4.4組に1組が不妊の検査や治療を経験している」というデータでした 。
数十人の部署であれば、数人が当事者であっても不思議ではない数字です。
しかし、職場でその話題が出ることは滅多にありません。

資料によると、治療経験者のうち26.1%もの人が仕事との両立に悩み、離職や雇用形態の変更といった選択を余儀なくされています 。
「相談できずに一人で抱え込む」という現状がすぐ隣のデスクで起きているかもしれない。
そう考えると、これまで何気なく過ごしてきた職場の風景が少し違って見えてきました。

求められているのは「特別扱い」ではない

企業ができる支援というと、高額な治療費の補助などをイメージしがちです。
しかし、アンケートで当事者が求めているのは、金銭的な支援(8.7%)よりも、「休暇制度(20.8%)」や「休みを取りやすい環境整備(20.1%)」でした。
治療は生理周期に合わせて行われるため、スケジュールの予測が困難です。 突発的な通院が必要になったとき、「明日の会議、時間をずらしてほしい」と気兼ねなく言えるかどうか。
制度というハード面以上に、それを許容する「職場の空気」というソフト面こそが、両立を阻む最大の壁になっているのだと感じます。

「お互い様」をシステムに変える

個人的に最も感銘を受けたのは、治療をする本人への支援だけでなく、「仕事を代替する同僚への配慮」についても言及されていた点です。
誰かが休めば、当然その分の負荷は周囲にかかります。そこにある「申し訳なさ」が、当事者を追い詰める一因になります。
ガイドでは業務をカバーした同僚に対して手当を支給したり、人事評価で加点したりする仕組みが紹介されていました。
「迷惑をかけて申し訳ない」という感情を、「チームで支えることが評価される」という前向きなサイクルに変える。
これこそが持続可能な組織づくりに必要な視点であり、制度を利用しやすい空気づくりへと繋がります。

心理的安全性のある職場を目指して

不妊治療に限らず、介護や自身の病気など長く働いていれば誰もが「時間の制約」を受ける可能性があります。
今回のガイドを読み、不妊治療支援は特定の誰かのためのものではなく、「お互いの事情を尊重し合える職場」を作るための試金石なのだと感じました。
まずは、私たち従業員一人ひとりがこの現状を知り「休みやすい雰囲気」を少しずつ作っていくこと。それが結果として、自分自身を守ることにもつながるはずです。

今回ご紹介した『不妊治療と仕事の両立支援制度-導入ガイド』には、当事者が直面している現実や求められている具体的な配慮について、詳細なデータと共にまとめられています。
制度や働き方の理解を深めるために、ぜひ一度目を通してみてください。

📖専門開発室の制作担当者から…
不妊治療のような従業員のライフステージに直結する重要な課題と仕事との両立は、本人やそのご家族だけで完結するには限界があるのではないでしょうか。
せっかく採用・育成した優秀な人材が、家族を持つ夢を諦めたり、治療と仕事の両立の壁にぶつかって会社を去ることがないよう、今こそ両立支援制度を構築しませんか。
本資料には、制度を利用する方が引け目を感じることなく、また、制度利用者を献身的にサポートする同僚や上長の頑張りに企業が報いるための、具体的な仕組みづくりのアイデアが掲載されています。
このガイドが、貴社の両立支援制度導入における確かな道標となることを心から願っています。

資料集『不妊治療と仕事の両立支援制度-導入ガイド』公開のお知らせ
不妊治療と仕事の両立等規程リリースのお知らせ

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